友輝誠司 心に残る言葉をあなたに

ユウキセイジ 心に残った名言や名画を紹介しながら、心に浮かぶことを書き綴れたらなと思っています。

No.2 「人間は人に与えたものしか、あの世には持っていけない」 映画「バベットの晩餐会」より 

デンマークの海辺の小さな村が舞台です。
デンマークの映画なのでハリウッド映画に慣れている我々には
入りにくい映画かもしれませんが
少し時間が経つといつのまにか映画の世界に入り込んでしまいます。

この村の教会の神父様には美しい二人の娘がいました。
娘は父の布教のために力を貸し、婚期を逃してしまい
父の死後も教会を守って布教活動やボランティア活動を続けていました。

それでもそれぞれの娘には過去に結婚にまではいたらなかったけれど
甘酸っぱい恋の想い出があり、二人ともその切ない思いを心に秘めて生きていました。

そんな二人のところに突然バベットという女の人が現れ
家政婦としてここにおいてほしいと願い出ます。
二人は「あなたを雇うほどのお金を私達はもっていません」と言うと
バベットは「お金はいりません、ただ寝るところとわずかな食事さえ
いただければそれで結構です」と。

そして謎の女バベットは神父の二人の娘の家政婦として働き始めます。

そして僕は不覚にも、またしても涙腺が切れて、涙を拭きながら
この映画のラストをむかえました。
本当にいい映画でした。
トランスフォーマー」みたいな映画ばかりに慣れている人には
物足りない映画だと思うのですが、感じる心のある人には
たくさんのブレゼントがあると思います。

アカデミー賞最優秀外国語映画賞」というのは、「アカデミー賞」より上と僕は考えています。
というのも「アカデミー賞」は英語圏(英・米・豪)の映画のみを対象としていますが
外国語映画賞」は、言うならば「その年の世界一の映画」ということになるのです。
バベットの晩餐会」はこの賞に輝きました。
この映画をいい映画と感じられる感性が僕の中にあることを嬉しく思いました

バベットが家政婦として登場した後の映画の内容については
これから観る人のために言いませんが、映画の後半に次のようなセリフがあります。
「人間は人に与えたものしか、あの世には持っていけない」と
もちろん与えたものというのは物品ではありません。
思いやりや温かい心のことを指しているのだと思います。

どんなに巨万の富や名声を得たとしても、それはあの世には持っていけない
という話は昔からよく言われていることです。
しかしあの世に持っていけるものがある、という言葉は僕にはとても新鮮で
このいかにもキリスト経的な箴言ではありますが、そのような宗教を超えて
この言葉は僕の心に残りました。

もちろんあの世にもっていくために
人に対して何かをやってあげる、などというレベルでは

最初から話にならないのですが、結果として、人に対して、

そう、困っている人、弱っている人、悩んでいる人、苦しんでいる人
そういう人達に何でもいいから自分のできることを「してあげる」ではなく「する」
という心がいかに大切かということをしみじみと教えてくれる映画でした。

そういえば僕の大好きな映画「嫌われ松子の一生」の中でも似たような言葉がでてきました。
「人間の価値は人から何をしてもらったではなく、人に対して何をしてあげられたかなんだよ」というセリフがありました。

かっこいい言葉かもしれませんが
残った人生、なにか人のためにやれることがあったら、できうる限りしたいな
と映画を観終わってしみじみと思いました。
みなさんも今でなくていいと思いますが、いつかは観てほしい映画の一つです。